2025年09月

2025年9月の総括

9月も終わりになって、ようやくすこーし涼しくなって来ましたが、みなさんいかがお過ごしでしょうか。涼しくなったとはいえ、あくまで「すこーし」。30度を超える日もちらほらあります。服装も夏と変わりません。一体どうなっちゃってるんでしょうね。

天気といえば、9月11日に強烈なゲリラ豪雨で戸越銀座が冠水しました。ニュースにもなったのでご存知の方も多いでしょう。

その日は帰りが早く、三時ちょっと前に地下鉄戸越駅に着きました。出口に向かうと強烈な豪雨です。少しでも雨が弱くなるのを待っているのでしょう、出口付近の階段には雨宿りをしている人がたくさんいます。

私も5分ほど様子を見ましたが、雨はどんどん強くなります。家までは10分ほど戸越銀座を歩いて行かなければなりません。悩みましたが、多少濡れたところで風呂にでも入って着替えればいいだけです。足元はサンダルなので濡れても問題なし。

意を決して地下鉄出口から外に出ました。傘が重く感じられるほどのひどい雨です。一分もたたないうちに頭以外がびしょ濡れになりました。「雨がひどかったら、喫茶店にでも逃げ込めばいいや」とか思っていたのですが、甘かった。こんな状態でエアコンの効いた店内に入ったら寒いし、第一喫茶店に迷惑です。とにかく帰るしかありません。

途中、今まで聞いたこともないほど大きな雷鳴が何度も轟いてビビります。光った瞬間鳴っているのでよほど近いのでしょう。まわりは避雷針のあるビルばかりなので自分に落ちるわけがないのですが、分かっていても恐ろしいものです。

びしょ濡れになってようやく家に着き、シャワーを浴びてしばらくしてからXを見ると、何とさっきまで歩いてきた道が川になってるじゃないですか。間一髪、あと10分ほど駅の出口で待っていたら沢登りしなきゃならなかったところです。

夕方になって雨はやみましたが、同じ品川区内の勤務校から電話がかかってきました。なんでも給食室が冠水して給食が作れなくなったとのこと。この高校は学校名に「山」と「台」が付いています。「山」で「台」なのに冠水。この近くに30年も住んでいますが、いままでそんなことは一度もなかったし、聞いたこともありません。

異常気象、もう何が起こるかわかりませんね。くわばらくわばら。

吊り革のいろいろ

電車マニアではないけど、外国の電車や地下鉄に乗るのが好きです。日本とは電車そのものや乗り方、駅のつくりや車内の様子など、外国に来た感が味わえるからです。

で、本題の吊り革。日本の電車にはたいていこれがぶら下がっています。形や長さは鉄道会社によってちがうけど、ビニール製のベルトにプラスチックの輪がついているのが普通です。
日本のつり革
でも、これ吊り革と言っていいのでしょうか?吊っている部分がビニールなのは百歩譲っても、どう見ても主役は輪っかの方です。この吊り革は「吊り輪」というべきです。

ちなみに吊り輪といえば体操のアレですが、英語では「rings」というそうです。一方で電車の「吊り革」は「strap」です。ちょっと前の携帯電話についていたストラップと同じですね。

では、他の国の吊り革を見てみましょう。まず、ボストンの地下鉄。
ボストン地下鉄の吊り革
さすがは全米最古の地下鉄、まごうことなきストラップです。革製ではありませんが、これは日本語で吊り革と言っても文句ないでしょう。

ちなみにニューヨークの地下鉄には吊り革はなく、手すりだけでした。手すりだけのタイプはけっこう多い気がします。
ニューヨーク地下鉄の手すり

ボストンのはストラップであり吊り革ではありますが、いかにも持ちにくそうです。その点、ニュージーランドはオークランドの吊り革はひと工夫されています。
オークランドのつり革
これは文句なく吊り革です。「吊り革は革であるべき」という、強い意志が感じられます。持ちやすいように輪っかになってはいますが、吊る部分と革が一体なので、ストラップ感もあります。

さて、最後は8月に行ったオーストラリアのシドニー。私はこれを見て驚愕しました。
シドニーのつり革
もはや革でもなければストラップでもありません。「吊り棒」とでもいうべきでしょうか。斬新なデザインですが、持ちやすそうには見えません。

それ以前に、白昼堂々こんなのぶら下げていいのかとちょっと心配になります。

シドニーの怪鳥

8月にオーストラリアのシドニーに行ってきました。オーストラリアといえば珍獣ですが、行ったのは大都会のシドニーです。さすがにそのへんの公園でカンガルーが寝ていたり、コアラが電信柱に抱きついたりはしていません。

とはいえどさすがはオーストラリア、街の中にもちゃんと珍獣はいます。全部鳥だけど。まず、到着した日に公園で見つけたのがこいつ。
オーストラリアクロトキ
誰がどう見てもトキです。色は違いますが、日本のトキは珍獣どころか滅亡しています。これがそのへんをひょこひょこ歩いています。

こいつは、オーストラリアクロトキといいます。オーストラリアではどこにでもいる鳥で、しょっちゅうゴミ箱を漁っていることから「bin chicken(ゴミ箱チキン)」と呼ばれているそうです。街中ではこんな落書きも見つけました。
落書き
本当にどこにでもいるので、飼われている動物にまざって動物園にもいます。次の写真はペンギンにまざっているところです。「は?ボク飼われているんですけど」とかとぼけて言ってそうです。
さりげなくペンギンに混ざるクロトキ
ビン・チキンはちょっとひどい名前ですが、こいつもオーストラリアの固有種で、へんな名前を付けられています。
ノイジーマイナー
和名は「ズグロミツスイ(頭黒蜜吸)」ですが、英名は「ノイジーマイナー(Noisy miner)」といいます。「うるさい炭鉱夫」といったところでしょうか。たぶん鳴き声が大きいことから「うるさい(Noisy)」顔が黒いところから「炭鉱夫(miner)」、ということなのでしょう。

ビンチキン以上に素行が悪かったのがこいつ。英語名はSilver Gullで、和名はそのままギンカモメ。
ギンカモメ
クチバシと足が赤いので一瞬ユリカモメかと思った(『伊勢物語』九段参照)のですが、ユリカモメよりははるかに目つきが悪い。この写真も僕たちの昼食を狙っている目です。
カキ
幸いこのときは一羽だけだったので、奇声を発したり変な踊りを踊ったりして撃退しましたが、街中のカフェではヒッチコックの『鳥』さながら、集団で襲いかかっているところも見られました。襲われたのは右のお姉さんです。
ヒッチコック風
そして、ここにもあいつが・・・。
ギンカモメにまざるビンチキン
お口直しにもう一羽ご紹介します。
キバタン
和名をキバタン(黄芭旦)といいます。英語名はSulphur-crested cockatoo。オウムの一種で、写真で見ると小さく見えますが、けっこうでかいです。街中では見かけなかったので、どこにでもいるというわけではないようですが、郊外には多いようです。

『水滸後伝』を読んだ

『水滸伝』の続編『水滸後伝』を読みました。

東洋文庫『水滸後伝 1』(鳥居 久靖訳):amazon

『水滸後伝』は『水滸伝』の成立後100年以上後になって書かれた続編なので、二次創作とも言えます。ストーリーをものすごくざっくりいうと、かつて梁山泊に集った百八星の生き残りが紆余曲折を経て再び集い、これでもかっていうぐらいのハッピーエンドを迎えます。ちょっとざっくり過ぎましたかね。

『水滸伝』のエンディングは悲劇的なものですが、『忠臣蔵』みたいに全員滅亡するようなさっぱりした悲劇ではなく、108人のうち35人が生き残ります。清代には金聖嘆という人によって、梁山泊に好漢が集結したところで全員死んで終わる(ただし夢オチ)という70回本が作られ、中国ではそれが流布しました。勝手にぶった切っちゃうなんてむちゃくちゃですが、全員死んで終わりにしたい気持ちは分からないでもありません。

実際の『水滸伝』では梁山泊軍団崩壊後、生き残った人たちがその後どうなったかまで事細かに書かれています。そのうち、混江龍の李俊は暹羅(シャム)の島に渡ってそこで国王になったとあります。『水滸後伝』はこれをもとにして書かれました。ですから、梁山泊の生き残り+αが最終的に結集するのは暹羅ということになります。

登場する人物は李俊を中心とした百八星の生き残りですが、すでに亡くなっている好漢の子供や、生死不詳のかつてのライバル、さらにはモブキャラまで登場し、ストーリーにちゃんとかかわってきます。それぞれのキャラクターがうまく使われているのも、わざとらしく思い出話をするのも『水滸伝』ファンにはたまりません。

梁山泊崩壊の直後、史実では宋(北宋)は金に攻められ実質的に滅亡します。徽宗・欽宗と皇族そして梁山泊の宿敵だった官僚らは北方に連行され、欽宗の弟高宗によって現在の杭州に南宋が建てられます。『水滸後伝』では金とのからみや徽宗や奸臣との再会もあります。杭州といえば梁山泊軍団が最後に方臘と戦った地で、生き残った武松が六和寺で寺男をやっている土地ですが、この設定もちゃんと生かされています。

我々日本人にとって見逃せない話もあります。梁山泊の生き残りが集結する暹羅(シャム)は本来なら現在のタイですが、ここでは台湾付近を連想させる架空の島になっています。ここでの一悶着に日本の薩摩が関わってきます。軍を率いるのは、なぜか日本の最高権力者である〈関白〉です。そんな偉い人が軍隊を率いてくるわけないんですが、昔の外国映画に描かれる日本みたいな解像度の低さがたまりません。

これが梁山泊残党にとって最後の戦になるので、薩摩軍はいかにも強敵という感じで登場するのですが、なんとたった一人の好漢の手よって瞬殺されます。そんなことができる好漢は、『水滸伝』ファンならピンとくるでしょう。方臘戦には参加しなかったあの好漢に対して花をもたせてあげようというのでしょうか。

それにしてもこの終わり方はあまりにあんまりです。『水滸伝』で方臘が魯智深に捕まったときも瞬殺でしたから、あるいはそのオマージュかもしれません。その後、悲劇的なエンディングをむかえる『水滸伝』とは対照的に、梁山泊の残党は過剰なほどのハッピーエンドを迎えます。

というわけで、『水滸後伝』は『水滸伝』ファンには間違いなく楽しめる作品です。逆にいうと、『水滸後伝』から読むのはオススメしません。できれば『水滸伝』を最低3回ぐらい通読してから読むのがいいと思います。
Archives
プロフィール

中川聡@やたナビ

メールはこちら(yatanavi.orgのメールフォームにジャンプします)
最新コメント
  • ライブドアブログ